ある日突然目が覚めて、全部夢だったなんて気がつくことになるんじゃないかと、
時々不安になったりもするんだと。

そう言ったら彼女は笑った。

「それなら、これは醒めない夢なのよ」






これはきっと夢なんだと。
夢でなきゃいけないんだと、思うこともあるんだと言ったら。
彼女は少し困ったように笑った。

「繋いだ手の温かさと、並んで歩く3人分の影法師よりも、確かなものがあるかしら?」







青い空は青く、海もやっぱり青く。

いつもは自分に懐かない彼も、機嫌よく自分の手に吊り上げられて喜んでいるなんて。
そんな。
夢のような一日。

「剣路。どこへ行きたい?」

「どっかー!」







何処へだって、連れて行くよ。
何処へだって、連れて行けるよ。





自分にはもったいないほどの幸せだなんて、考えるのはやめにしたんだ。






この世界はいつだって、強さと優しさに満ちている。








イヤッホー!!
泰兵衛さんの「江ノ島シリーズ第3弾」です!
「抜&ちび薫」→「剣&薫」と続きまして、
この「緋村さん一家」へと時間軸が移動しております。
別名「人妻編」(笑)だそうです。
イラストに漂うこの爽やかな雰囲気が大好きです。
何故だかホロリと涙が出てきそうになるんです。
良かったね〜剣心・・幸せにおなり〜!って・・。
毎度のことながら、つむりの勝手な妄想文をくっつけさせて頂きました。
イラストの雰囲気ブチ壊してるような気がします・・ごめんなさい・・(泣)
でもですね〜、緋村さん一家のことを考えるとき、私はよく思うのです。
薫ちゃんと一緒になって、剣路が生まれて、
緋村さんは幸せだなと思いながら、
きっとそう思うことにさえ罪の意識ってやつを感じるんだろうな、と。
だからって年中人助けの旅で家を空けたりはしないけど。
(私の中では「星霜編」は無かったことにしてあります。悪しからず。)

「幸せだなぁ」と思う権利くらい、自分に与えてあげなさいって思うのです。
倫理的には何が正しいのかなんて関係ないのです。
人斬りには幸せになる資格がないとか、まあそれも一理あるでしょう。
でも例えば、もの凄くぶっ飛んだ例えをするなら、
広島に落とされた原爆の、スイッチを押したアメリカ人の兵士には、
戦後に幸せを掴むことは許されないかしら?

緋村さんが自分に何かを許すことは、薫ちゃんと一緒に生きていく上での義務でもあるのだと、
私は勝手に考えていたりするわけです。
そんな思いを泰兵衛さんのイラストを拝見して再確認しました。

今回、私の不手際で泰兵衛さんには2回もイラストを描かせてしまいまして・・
誠に申しわけなかったです・・。
そしてこんなダメ人間に心優しく
描きなおしたイラストを送ってくださった泰兵衛さんには感謝の言葉もありません(土下座)
本当にありがとうございました・・!!

05.8.16






モドル。